ふらんす*にちようざっかblog

美術とフランスにまつわる雑話。でも最近は子育てネタばかり。

シティ・オブ・ゴッド

CIDADE DE DEUS 邦題《シティ・オブ・ゴッド
監督:フェルナンド・メイレル
ブラジル、2002年、135分 ☆☆

リオ・デ・ジャネイロ近郊の街に住むストリートチルドレンの絶望的な生活を描く作品。ドキュメンタリーではないが、それに近い。子供たちの中で力を発揮する年上の少年たち、その弟世代。銃と麻薬が蔓延する社会で、その一役を担う少年たちを3世代に渡って描く。少年犯罪というよりは、大人の真似事をして粋がる子供とそのつけ払い、無知と無邪気さによる犬死に、という感じ。憎しみの連鎖は何も生み出さない。ただ恋人同士が分かれ、友人が死に、新たなマフィアが生まれるだけだ。現状を見せる告発・警告的作品はもうたくさんある。そこから一歩出て欲しい。憎しみの連鎖を壊すには何が必要なのか、監督はそれを打ち出すべきだったと思う。でなければフィクションを作る意味がない。最終的にカメラマンになる少年フュゼの視点は監督の視点と重なる気がした。フュゼの視点は傍観者だった。何もできない、でも何かしなくては何も変わらない。焦燥感に駆られ、遣る瀬無くなるエンディングだった。
作品の構成方法、暗すぎる感はあったがそれでも焼け付く蒸し暑さを感じさせる画面、色彩、これらは素晴らしかった。3世代の間の些細な繋がりも、こういうことか!と思わせる手法がなかなか巧かった。フラッシュバック多用しすぎだけど。(19-04-2003)