ふらんす*にちようざっかblog

美術とフランスにまつわる雑話。でも最近は子育てネタばかり。

アフガン零年

「これは、本来の決定を下す為の決定権を誰も持てなかった時期の、我々の辛く悲しい時代の物語である」と監督が言うように、タリバン政権による抑圧からの解放後初の長編アフガニスタン映画である(オープニングロールにNHKの名があったのですが、NHKが撮影協力をしたのかな?)。
戦争により働き手の居ない家族の生活を救うために「少年」にならざるを得なかった「少女」の目を通して見たアフガニスタンの状況は、確かに耐え難いものだった。『虹の下を通ると性別が変わる』という歌詞には、抑圧され続けたアフガン女性たちの苦しみとそれでも希望を持っていようとする状態の果敢なさが浮き彫りにされた感があった。
全てが決まりごととして決定された学校教育、それを笑うことが許されない状況。子供のうちからのこうした教育が原理主義者を生むのかと、その生成過程が非常に興味深かった。
宗教とは本来人の心を救うものであるはずなのに、それが原因で傷つけあうというのが本当に理解できない。信仰心のある人間がなぜ他者を排除しようと思えるのか。他者を排除せよというような神は信仰するに値しないのではないのか。なぜそう思えないのか。原理主義者たちへの呼びかけの言葉は届かないのか。狂信者たちは今尚戦い続けている。(01-07-2004)