ふらんす*にちようざっかblog

美術とフランスにまつわる雑話。でも最近は子育てネタばかり。

ドゥクフレ《SOLO》

友達の仕事関連で招待券を頂いたので、天王洲銀河劇場にて、フランス人振付家フィリップ・ドゥクフレ(Philippe DECOUFLÉ, 1961-)のアートパフォーマンス《SOLO》を見てきました。天王洲アイルって初めて行ったけど、全然人がいないのね。平日だから?でも会社帰りの人がご飯を食べるようなスペースがあるのに、そこにすらいなかったよ。でも久々モノレールは、ちょっとわくわくでした。


【Philippe DECOUFLÉ】
パリ出身。サーカス学校でマイムやアクロバットを学び、数々のダンスカンパニーに参加。その後奨学金を得てニューヨークのマース・カニングハムカンパニーで学ぶ。83年バニョレ国際振付コンクール入賞、自身のクリエイティブ集団であるカンパニーDCAを結成。1992年のアルベールヴィル冬季オリンピックの開・閉会式の演出・振付で世界的に有名になり、1997年のカンヌ国際映画祭50周年ではセレモニー作品を発表、そこから発展させた《SHAZAM!》で生のパフォーマンスと映像とが錯綜するだまし絵のような舞台を経て、この一人公演《SOLO》ができました*1ヴァネッサ・パラディが出ていたCHANEL「エゴイスト」のCFでも演出をしているらしいのですが、見たことないのか、記憶がありません。見たいなー(ちなみにCoCoのCFはこちらの“VOIR LA VIDEO”をクリックで見られます。可愛い〜)。2006年FIFAワールドカップ開会式でもスタジアム中空にモニュメントを創るなど、世界的な活躍を続けているドゥクフレ。ものすごーくよくいる見た目のフランス人なので、たぶん道で会っても「あ、ドゥクフレさん」って分かんないと思う。


さて今回の公演には日本語訳がついていたのですが、うーん、やっぱり字幕(電光掲示板)で同時に見せるか、あるいはプログラムに先に印字しておくのがいいと思う。吹越満の声は好きだけど、フランス人のパフォーマンスを見に来ているわけだから、やっぱり日本語は排除したいところ。途中歌詞の内容をパントマイムのように見せる場面があったのだけど、それと同じように、踊りの表現と言葉の表現はちがうものとして見られるので、あの場で日本語は必要なかったんじゃないかなと思う。写真の説明をする場面とか、フランス語が分からなくても雰囲気で分かるだろうし。
以前どこかで読んだドゥクフレのインタビュー記事*2で、彼自身はフリークス的なものに惹かれると言っていたんだけど、画面を三分割して頭のない人間を演じたり、頭が手である人間を演じたりするのはそのせいなんだろうか。


こちらも見てね☆
Cie DCAオフィシャルサイト(舞台映像が見られます。)
Cie DCA日本公演オフィシャルブログ


ところで公演内容とは関係ないことなんだけど、今年度は写真論について読み物を進めているので、写真が出てくるとついそれについて考えてしまう。今回公演中に「これは一人目の娘の○○です」「2番目の娘の△△です」「一人目の娘のママです」「2人目の娘のママです」「僕の妻です」と写真を見せる場面があったんだけど、見ていたときは「バツ2かよ!」と突っ込んだだけだったのですが*3、その後一人目の娘がNYで撮った写真、二人目の娘がセネガルで撮った写真を見せられた時、そのあまりに同じ構図に「あれ?これ作り話?」という疑いすらわいてきた。写真は事実を写す。この娘たちがNYやセネガルに行ったことは事実だ。しかしそれが本当に彼の娘であるのかは、写真をただ見るだけのわたしには分からない。そしてそれがもしも作り話だったとしても、彼の公演内容にはなんら影響はない。そういう「ファンタジー」なのだと思って受容するだけなのだから。

*1:確かラジオのインタビューで「僕一人でも舞台に20人登場させられるじゃないかと思いついて、それでこの《SOLO》ができたんだ」と言っていました。

*2:この記事じゃないんだけど、同じようなことを言っていたのでリンクしておきます。

*3:いや、そもそも結婚してなくてバツはついてないかもしれない。結婚しないで子供がいるカップルというのは、フランスでは割と多いので。