ふらんす*にちようざっかblog

美術とフランスにまつわる雑話。でも最近は子育てネタばかり。

天明屋尚展


長らくお世話になっている髪切り屋さんのKさん&Nちゃんと、午後の飯田橋へ。目的地は、ナカメから市ヶ谷へとメインギャラリーを移したミヅマアートギャラリーにて開催中の、天明屋尚展「風流(ふりゅう)」。


神々しいこのお名前は、本名らしい。素敵。詳細はオフィシャルウェブを見ていただくとして、簡単に作家さんを紹介すると、1966年生まれのアーティスト。レコード会社のアートディレクターを経て、現在美術家として活動しています。
「ネオ日本画」ということで、テーマやモチーフなどは日本の古典に依拠しているのですが、素材はアクリルだったりして、妙に艶かしく非常に色気のある作品を作られる方です。
「任侠」とか「義理」とか「刹那」、そういう言葉が背後に舞い散りそうな作品を描く一方で、鎧兜でフットボールしてたりするチャーミングな作品も描かれます。でもとりあえずとにかく巧い。人も動物も、生物も無生物も。リアルというよりは非リアルなのに、生々しさが際立つという、不思議な作品だと思います。



さて、そんな天明屋の作品を目当てにミヅマアートさんへ。しばらく鑑賞していたら、ミヅマさん自らが出てきてくださり、いろいろ説明してくださったので、ちょっとびっくりしました。現代アートを扱う画廊さんてそういうものなのかな??でも非常にわかりやすく説明していただき、また和室の隠し扉みたいなところも見せていただいて嬉しかったです。本当にありがとうございました!
展示点数は多くはないですが、期待通りの天明屋の世界が広がる展示でした。画面は「うわ!」と思うような斬新さなのに、表装とかがまた傾奇いていて(巻けない掛け軸とか)、その上細部(軸先が独鈷みたいな形してたり、そもそも軸を吊るすフックが釘隠しかあるいは刀の鍔みたいなものだったり)にも色んなこだわりが見えてそれもまた魅力。


ミヅマアートギャラリーの展覧会紹介より抜粋:

“日本的”といえば質素で静かな印象の“侘び・寂び”、“アニメ・マンガ”のポップな一面が一様に取りざたされますが、天明屋が一貫して取り組んできた室町時代婆娑羅や江戸時代の傾奇者といった絢爛豪華に飾り立てる美意識も、現代に受け継がれる日本の美に多大な影響を与えています。その流れを継承するものとして、今年9月に「男伊達宣言」を発表するに至りました。本展では、刺青を婆娑羅系譜である男伊達 精神の象徴と捉え、自ら描いた男たちの肌に絵筆で丹念に彫りこみます。


天明屋尚展「風流(ふりゅう)」@ミヅマアートギャラリー(市ヶ谷)
会期:2009年12月16日〜2010年1月30日 終了間近!