ふらんす*にちようざっかblog

美術とフランスにまつわる雑話。でも最近は子育てネタばかり。

Space for your future展

ここ最近行く機会の多くなった(=面白そうだと思う企画展が増えた)東京都現代美術館に、Space for your future アートとデザインの遺伝子を組み替える展(今月20日まで)を見に行ってきました。美手帳で特集されるなど評判の高さは前から聞いていたものの、今回も外れ感無しの充実展示でした。キュレーターの長谷川さんにはお会いしたことないのですが、流石です。


会場内にパネル等で章分けは特に無いのですが、大きく4つの“スペース”に分かれています。

BODY インナースペース
メタファーとしてのスペース
身体感覚を変容させるスペース
記憶・情報・プログラムとスペース

配置がこのとおりというわけではないので、鑑賞者としては章立てをそんなに気にしなくていいと思う。



 


印象に残った作品を羅列してみると、タナカノリユキの《100 Erikas》、エリザベッタ・ディマッジョの《無題》、Mongoose Studioの《Fuwapika future》、SANAAの《フラワーハウス》、エルネスト・ネトの《フィトヒューマノイド》、コンテニード・ネトの《プロジェクト:コンテニード・ネト》、バーバラ・フェッセルの《俳優と詐欺師》、足立喜一朗の《e.e.no.24》、石神純也《リトルガーデン》、ダイキン・エア・デザイン・プロジェクトの《air reflection》、Demakersvanの《レース・フェンス》。


《100 Erikas》は圧巻でしたね〜。100人分のポートレートって言うだけでもすごいのに、それが全員同じ人物で、しかもそのキャラクターの演じ分けのためにキャラクターを強調するための衣装を着けるわけなので強烈さはさらに増す。被写体である彼女の演じ方が素晴らしいのかどうかは分からないのだけど(表情の作り方は3種類くらいの固定パターンを使いまわしているような気もしましたが)、そもそもとても綺麗な顔をしている人なのでそれだけでもまず見せる。その上にCG無し・メイクと衣装で作りこむアナログな努力にも迫力を感じる。
ディマッジョはなんか植物模様を紙にスカルペルカッティングしてるんだけど、最初見たとき都市の鳥瞰図かと思いました。説明に「まるで都市地図のようでもある」って書いてあって初めて「あ、都市じゃなかったんだ」と気付きました。コレは多分、白い紙にカッティングしていて、それが白い空間に展示されているから余計に果敢なさが誇張されて綺麗に見えてるんだと思う。
Demakersvanの《レース・フェンス》はこのディマッジョの作品と似た美しさがあるんだけど、こっちはフェンスという素材のせいか男性的な印象が強く、それゆえにそこに表された花のモチーフが可憐に感じる。
同じようにメタルと草花という展示だったのが石神純也《リトルガーデン》。どう作家のヘリウム気球《四角いふうせん》は見ててボーっとするだけでいまいち面白さが分からなかったので、向かいに展示されていたこっちの作品のほうが好き。SANAAの《フラワーハウス》をもっと小っちゃくしたみたいな作品で、でもそれ以上に薄いアルミ(だと思う)のキラキラした感じと、紫やピンクの小さな小さなお花が非常に愛しくなる一品でした。


Mongoose Studioの《Fuwapika future》は、ホントにふわふわでピカピカなの☆廊下部分に並べておいてあるので縦位置設置だったのがちょっと残念。嶺脇美貴子の作品をこっちに置いて、代わりにふわぴか椅子を下の踊り場に持っていって円形に並べたほうが良かったんじゃないのかなぁ?電源コードの位置の都合かしら。

で、この七色に光る椅子に続いてコンテニード・ネトの《プロジェクト:コンテニード・ネト》が展示。ペットボトルを紐状に切って編み直して色んな物を作るっていう廃品回収プロジェクトなんだけど、コレもっと広がってゴミが減るといいなあと思いました。とは言えこの際利用法にも限りがあるわけなので、さぁその後どうする?ってことを考えなくちゃいけない時代に入ってきてるんだけど。

もう一人のネト、エルネスト・ネトは昨年の東京オペラシティ・アートギャラリーでの「メルティングポイント」展でも発表していたように、繭っぽい作品を作る人なんだけど、今回はボディスーツを作ってきました。体験作品なので、もうじき会期終了なこの時期はだいぶヨレっていたんだけど、昨日に問題はなく楽しんできました。すんごい落ち着くのよ〜このスーツ兼椅子。そして他の人たちが着てごろーんってくつろいでるところは、なんかそら豆が転がっているみたいで可愛いv

バーバラ・フィッセルの映像作品は俳優が一人二役演じるインタビュー場面という設定。月の土地を売るという、コンセプト販売でお金を取ることについてのインタビューが行われているのだけど、そのコンセプチュアルアートへのオブジェクションという内容も面白いんだけど、それよりも個人的には「この薄い映写版で展示できんのか〜」って、そっちのインスタレーションに感動しちゃった。だってハレパネはさんだだけだったよ、これ!


これ!これが面白かったの、この個人ディスコ!マジックミラーで出来てて、中からは鏡に映った自分の姿しか見えないんだけど、外からは丸見えなの。で、ミラーボールが回っててヘッドフォンでテクノミュージック聴いて踊る☆というもの。これねー、ホント、皆が列を作って体験待ちしている展覧会の会場じゃなったら踊るね(笑)。
去年の春に渋谷BEAMSでこの個人ディスコイベントがあったんだけど、それには行けなかったので今回体験できて嬉しい☆2006年の取手アートプロジェクトに出した《ジャイアント・モーラー》よりもずいぶんスタイリッシュになりましたね。今後とても楽しみな作家です。


個人的には六本木クロッシングよりも数段面白かったです。大きな会場だからこそ出来る空間展示は、さすが都現美だと改めて思いました。図録も可愛くポップな想定で3000円切ってたところも良し。ただデザインがビヨークの4枚目《ヴェスパタイン》のアートワークと被るんですけど、これはわざと?