ふらんす*にちようざっかblog

美術とフランスにまつわる雑話。でも最近は子育てネタばかり。

笑いの美術②

わー忙しくって前の記事から一ヶ月経っちゃった!!

そんなわけで、森美術館での展覧会その2「笑い」展です。こちらも前回紹介の「日本美術が笑う」展同様、1月27日(土)から始まって5月6日(日)まで。

こっちのセクションは現代アートに見る笑いなので、大体においてニヒル。セクションは4つに分かれている。

1)前衛の笑い:フルクサスを中心に
2)小さな笑い
3)笑いの裏返し
4)逸脱する笑い

セクション1と2は、いわゆる“突っ込み”で笑わせるものなので、その突っ込み具合が自分に合わないとまったく面白くないと思う。フルクサスはもう既に美術史の中に組み込まれてしまっている感もあるので、あまり現代的な笑いとしては見られない感じもしたけど、でも塩見允枝子の《フルクサスバランス》は好きな作品。セクション2(だと思う)の、作者は忘れたけど《勃起で靴紐を解く》というのはちょっと面白かった。おそらくはペニスの先に紐を結び付けて、それをさらに靴紐に結びつけているのだけど、ペニス部分が映像には写らないので、もしかしたら手で持っているのかも知れないと疑わせる。本当かもしれないし、嘘かもしれない。ふるふると震える絶妙な動き具合からすると本当っぽいけど果たして…?と思わせる。


      
面白い作品が多かったのはセクション3。何と言っても会田誠!ヴィデオ作品を最後まで見るのは結構しんどいんだけど、この作品《日本に潜伏中のビン・ラディンと名乗る男からのビデオ》はもう一回見たいと思わせる吸引力。狭い和室に、コタツを境にビン・ラディン会田誠のくだを聞くという設定。自身作品を見せつつ「なかなかいいね」なんて自画自賛もあって笑える。英語字幕が入ってるところもまた余計に笑うんだけど、これは日本語が分かる人のほうが圧倒的に楽しめると思う。
会田誠の隣の画像は、数コマ漫画のような」ロビン・ロードの作品。地面に描いた街頭が人間を襲う。
隣の画像はG.I.ジョーな企業戦士たちが匍匐前進をしている(が、障害物があって殆ど進めていない)。作者が外国人かと思っていたので、てっきりこのG.I.たちは各国政治家なのかと思っていたんだけど、作者が日本人なら、そりゃ主人公はサラリーマンだね。匍匐前進が赤ん坊のはいはいにしか見えなくなる、切ない笑いの一作。


最後のセクションは、個人的には面白くなかった(ていうか笑えなかった)けど、作者の意図は分からなくも無い作品たちが並ぶ。誰の作品か忘れたけど、イエローページをめくりながら高給取り(ターゲットは弁護士だったかな?)の名前をトラックに乗って読み上げていく、というビデオ作品があったが、これは笑うって言うよりムカつきました。お金持ちが皆汚い手を使って金持ちになったわけではないんだし、それなりの努力をして弁護士になった人だって多いだろうのに、ただその職業についているというだけで非難されるなんておかしい。これか“笑える”と判断した人が信じられない。



締めくくりがちょっと中途半端な感じで終わった展覧会だったけど、会田誠が面白かったからまぁいいや、という感じ。でも前半の「日本美術が笑う」展の圧倒的勝利。(14-02-2007)