ふらんす*にちようざっかblog

美術とフランスにまつわる雑話。でも最近は子育てネタばかり。

クリーブランド美術館展

9日から森美術館にて始まった「クリーブランド美術館展 女性美の肖像」のレセプションに行ってきました。森美のレセプションは初めてだったんだけど、他の館に比べて段違いにゴージャスでした。お料理も美味しかった。普通はケーキとかサンドイッチだけなんだけど、ここのは丼物とかパスタとかまであったよ。普通に立食パーティーみたいでした。びつくり。


さて、展覧会ですが、作品数は少なく見易い。森美の展示ってぎゅうぎゅう詰めてるっていう印象があったんだけど、今回はかなりすっきりとしていて作品数は60点のみ。通常展覧会は100点前後がいいと思っている身としては少ないなぁと思うけど、でもおそらく混むであろう展覧会場でこの量は正解かもしれない。展覧会は5章構成。

1)正確な事物 〜印象派の時代
2)平行する調和 〜印象主義を超えて
3)おお死すべき者どもよ、私は美しい 〜ロダンとロッソ
4)あっと言わせてくれ! 〜ピカソと前衛芸術
5)北方の光 〜北ヨーロッパとイギリス諸島のモダニズム


1)クールベによる女性の肖像画で始まる展覧会。ルノワール(初期と後期と2点出ているけど、圧倒的に初期の勝ち)やドガ、マネら“外光派”の作品が並ぶセクション。モネの《赤いスカーフ、モネ夫人の肖像》は本当に素敵だった。もう少しカミーユの顔がはっきり描かれている作品だと思っていたのに、ぼんやりとしていたのが個人的には意外だった。


2)後期印象主義象徴主義と呼ばれる作家たちの作品が集められている。ゴッホゴーギャン、ドニら。ゴーギャンの《波間にて》の緑色とオレンジ色の対立はかなり強烈。ヴイヤールが描いたカフェ・ウェプラーはクリシー広場近くにあるものらしいが、現存しているのだろうか。もしまだあるなら行ってみたい。


3)見所はバルザック


4)初めて見るエルンスト作品《草上の昼食》があった。まるで絵本のように鮮やかな色使いでありながらもグロテスクな魚が鑑賞者を見ている(マネの《草上の昼食》で裸婦がこちらを見ているように)。マネの“草”はherbeであるのに対し、エルンストの“草”はherbre。とは言えこのような単語はなく、カタログの解説によればmerde(汚物)の発音との類似が示唆されている。


5)モンドリアンの《菊》、バルラハの《歌う男》が良い。あとは時代の様式を端的に見せているロットルフ。カンディンスキーの恋人であったミュンターの作品もあったのだが、表記がガブリエルではなくガブリエーレとなっていたのは何故?一般的にはガブリエルだと思っているんだけど、最近はこちらが通称なの?


会期は11月26日まで。(08-09-2006)