ふらんす*にちようざっかblog

美術とフランスにまつわる雑話。でも最近は子育てネタばかり。

ハウルの動く城

ハウルの動く城
監督:宮崎駿
日本、2003年、119分 ☆☆

宮崎アニメの評を書くの、初めてですね。他のも見てるし好きな作品もあるんだけど、それは追々。
さて、日本とあまりタイムラグ無しにフランスでも公開となったハウル。感想としては「弱い」。物語展開も、キャラの描き方も弱いです。それぞれのキャラはいい味があるのに、描き込みが足りないがために、物語の繋がりをかなり弱くしている。まずそもそも主人公ソフィーの劣等意識をきちんと書き込まなければハウルとの対比が浮き立たないし、それによって初めてハウルの弱さも描けるのに、そこがさっと流されている。ハウルと荒野の魔女の関係もそう。“心臓”の大切さがここで描かれなかったから、ハウルの魔法の解け方も弱かった。そして反戦メッセージが弱すぎる。というか、中途半端。こんな半端ならないほうが良かった。だから魔女サリマンの立場も曖昧になるのだ。敵と味方は決めかねるものだという宮崎アニメにありがちな路線なのはいいんだけど、それにしても反戦をテーマにするなら“悪としての戦争”を描かなければいけなかったのに。原作の物語があるせいか、そっちの要素を取り入れるためにずいぶんと大事な部分が削られているなぁという印象を持たざるをえなかった。
声優は、思ったより悪くなかった。キムタクが時々ついうっかり“キムタク”だったけど、全体的には及第だった。ところであの、ソフィーの魔法は結局解けたの??そこが曖昧。わかんなかった。(18--1-2005)