ふらんす*にちようざっかblog

美術とフランスにまつわる雑話。でも最近は子育てネタばかり。

ストリート・オブ・クロコダイル

Street of Crocodiles 邦題《ストリート・オブ・クロコダイル》
監督:ティモシー&スティーヴン・クエイ Timothy & Stephen QUAY
イギリス、1986年、20分  ☆☆☆☆

“木偶人形”という言葉が一番適当ではないかと思せるパペットアニメーションクエイ兄弟パペットアニメーションの巨匠であるヤン・シュワンクマイエルを尊敬していることもあって、シュワンクマイエルに非常に近いものがありますが、彼ほどシュルレアリスティックな感じはありません。
この作品は、19世紀後半に生まれたポーランドの作家ブルーノ・シュルツの『大鰐通り』を原作としています。老博物館員の垂らした痰から始まるこの物語。塵芥、生肉、呪縛、鋏、開放、不毛。この暗く湿った幻想の世界は、なにか巨大なものに支配されているかのように、静かに張り詰めています。きりきりと動く木偶人形たちの、空虚な瞳に釘付けの一作。(----2000)