ふらんす*にちようざっかblog

美術とフランスにまつわる雑話。でも最近は子育てネタばかり。

ペレ建築


建築事務所にお勤めの友人が出張でパリに来ました。そこで彼の自由時間が出来た日(11月16日)に、一緒にパリ郊外の教会建築を見学に行きました。見てきたのはNotre-Dame du Raincy (ノートル・ダム・デュ・ランシー、ランシーの聖母教会)、1923年、フランス人建築家 Auguste PERRET オーギュスト・ペレ(1874-1954)の設計です。説明によると、ペレによる教会建築の処女作にあたるそうです。
鉄筋コンクリート製のこの教会、正直言ってファサードを初め外観はあまり好きではありませんでしたが(なんか威圧的な学校っぽい…でもブールデルの浮き彫り「ピエタ」は良かった)、中に入ると壁一面に広がるステンドグラスによる光の洪水に圧倒されました。聖母マリアの一生を描いた具象画のステンドグラスの足元には、マッキントッシュの柄を思わせる抽象的モチーフ(花みたい)の細かく区切られたステンドグラスがびっしりとはめ込まれていて、それが入り口から内陣にかけて、黄色→オレンジ→紫→青とグラデーションになっています。このステンドグラスの枠取りが可憐なんですよー。正円と正方形で寄木細工みたいになっているんです。それが天井の模様と呼応しているのです。素敵でした。ちなみに正面の大ステンドグラスの下部に肖像ガラス絵があるのですが(寄進者だろうか?)、これのデッサンはモーリス・ドニだそうです。個人的には20世紀に入ってからのドニはあまり好きではないのですが、ドニファンならこれもまた見る価値ありなのかも。
教会へは、パリSt-Lazare駅からRER-E2線に乗って約20分、Le Raincy Villemomble Montfermeilで降ります。そこから商店街を突っ切ってまっすぐ行くと左手に見えます。駅から徒歩5-10分くらい。パリの郊外は比較的危険な場所が多いのですが、ここは“中流階級の人が住む郊外”って感じだったので危険度は低いです。か弱い人でも一人で行けます。ピクニック気分でどうぞ!