ふらんす*にちようざっかblog

美術とフランスにまつわる雑話。でも最近は子育てネタばかり。

河口龍夫展

今日は旦那さまと2人でアートの日、ということで竹橋へ河口龍夫展を見に行きました。面白かったです。鉛や鉄といった無骨な金属と、蜜蝋で固められた向日葵や蓮などのかつて生命だったものとの融合、そこに光や闇といった要素が加わり彼の芸術を形成しています。


展覧会は、闇を閉じ込める箱の展示で始まります。箱の上に年号が書いてあって、3000年なんてものもある。良く見ると2010年以降の箱の前には分銅のようなものが入ったケースがおかれており、まだ時が来ていないため闇を閉じ込められていない事が分かる。一度空けてしまう=光にあててしまうと霧散してしまう闇、だからこそ、既に閉じられた箱の中身をわたし達は確かめる事が出来ず、闇は永遠に箱の中に閉じ込められ続けるのだ。

併設の部屋では、真っ暗な部屋絵を描けるようになっていました。多少はぼんやり明るいのかと思っていたのに、容赦なく暗かったです。わたしは海景色を、旦那さんはなんか抽象画みたいなのを両手で描いてましたよ。紙があると思って描いてたのに実ははみ出してたり、虫を描いたのに予定した場所に描けてなくて空中を飛んじゃったり、なんか変てこな絵が出来ました。

描き終わったら、河口本人が暗闇で描いた作品を懐中電灯で見る展示室。これも面白い(わたしたちが行ったときはガラガラだったからいいけど、混雑しちゃったらどうするんだろう?待たせるのか?)。部屋の中にいたの2人だけだったので、ブレアウィッチごっことかしちゃいました。


辞書を切り取ったキャプションの作品があって面白かったなぁ。アクリルの展示ケースに、アクリルを定義した辞書の項目が貼ってあるの。
ラベンダーの香りがほのかに漂うプール(蓮カップの脇にある小さな水色の珠は、カップが移動してしまわない為の錘らしい)、妻の形に蓮が咲く寝台、生まれた子ども達の臍の緒のスケッチ、地球の足跡を感じさせるマクロコスモスな作品たち。なかでも《天の北極、天の南極あるいは神の眼》は、暗くしてさっきの懐中電灯で光を照らしながら見てみたいくらいスペイシーで美しい作品。
ラストを飾る木馬の乗った船《時の航海》は、本当に夢の船だった。

こんなにいいのに何で空いてるんだ!と思ってしまうくらい面白いです。是非。(それとも平日だったから空いてたのかな?)

河口龍夫展 言葉・時間・生命
東京国立近代美術館
2009年10月14日〜12月13日
10:00〜17:00(金曜は20:00まで)(30分前入館)
休館日:月曜

オフィシャルウェブURL:河口龍夫Official Web Site