ふらんす*にちようざっかblog

美術とフランスにまつわる雑話。でも最近は子育てネタばかり。

バレエ Étoiles Gala 2008 Aプログラム

更新遅れましたが、2回目のエトワールガラです。
一昨日見た時はユレルだめ〜って書いたんだけど、前言撤回!今回はとっても良かったです!この日は最終日ということもあって満席(だと思う)。公演の最後には普段のバレエプログラムではありえないような、ダンサーが舞台下まで降りてきて観客を上に引っ張り上げて踊りだす、なんてサプライズもあって、「最終日にはなにかあるかも!?」という期待を胸に抱く人が今後取っても増えちゃうんじゃないだろうか。ルグリに連れて行かれた人は自身もダンスをやられるのか、早いステップでダンスしてました☆すごい☆
AプロとBプロ両方見た感想は、Bのほうが面白かったなーというもの。とはいえAプロの≪メリーウィドウ≫。見て良かった!と感激の拍手を送るべきものだったし、やっぱり両方見て良かったな〜というところか。


☆★2008年8月10日14時からの、エトワール・ガラ2008 最終日 Aプログラムの内容はこちら★☆

  • ハムレット≫第2幕より“パ・ド・ドゥ”
    • 振付:J.ノイマイヤー
    • 音楽:M.ティペット
    • 踊手:シルヴィア・アッツォーニ、イリ・ブベニチェク
  • ≪ジゼル≫ 第2幕より
    • 振付:M.プティパ、J.コラリ/J.ペロー
    • 音楽:A.アダン
    • 踊手:スヴェトラーナ・ルンキナ、マチアス・エイマン
  • ≪椿姫≫ 第1幕より
    • 振付:J.ノイマイヤー
    • 音楽:F.ショパン
    • 踊手:エレオノラ・アバニャート、バンジャマン・ペッシュ
    • ピアノ:上田晴子


15分休憩

  • ≪ラ・バヤデール≫ 第1幕より
    • 振付:M.プティパ
    • 音楽:L.ミンクス
    • 踊手:スヴェトラーナ・ルンキナ、イリ・ブベニチェク
  • ≪思いがけない結末 Unintended Consequence≫世界初演
    • 振付:J.ブベニチェク、マリ=アニエス・ジヨ
    • 音楽:E.クーパー
    • 踊手:マリ=アニエス・ジヨ、イリ・ブベニチェク
  • ≪ベラ・フィギュラ Bella Figura≫
    • 振付:J.キリアン
    • 音楽:G.B.ペルゴレージ、A.ヴィヴァルディ
    • 踊手:シルヴィア・アッツォーニ、アレクサンドル・リアブコ
    • ピアノ:上田晴子

 
15分休憩

  • ≪カンツォーニ Canzoni≫日本初演
    • 振付:M.ビゴンゼッティ
    • 音楽:N.ケイブ
    • 踊手:エレオノラ・アバニャート、バンジャマン・ペッシュ
  • ≪ダンス組曲
    • 振付:J.ロビンス
    • 音楽:J.S.バッハ
    • 踊手:マニュエル・ルグリ
    • チェロ:宇野陽

○o。以下個人的な感想です。

▼≪ハムレット≫第2幕より“パ・ド・ドゥ”
正直言ってバレエとしてのハムレット第2幕がどういう場面なのかよく分かんなかったのですが、出て行こうとする男性(現代風の衣装にトランクまで持ってる)を、可憐な女性が止めようとして、お互い離れがたいんだけど最後は男が女を振り切って出て行く、という場面でした。
女子はオフィーリアだとすぐ分かるんだけど、男子がハムレットなのか、あるいはオフィーリアの兄なのか。。。兄だと思った根拠は、別れのキスが頬に4回のキスだったからなんだけど、後でプログラムの文章読んでみたらハムレットとオフィーリアでした。
これは85/97年にデンマーク・ロイヤル・バレエで演じられた、サクソ・グラマティクスの著『デンマーク人の事蹟』(12世紀)とシェイクスピアの『ハムレット』をミックスさせ舞台を現代に移したものらしい。
ブベニチェクが、上手いんだけど魅力減。やっぱり彼はコンテンポラリーの人だなぁと思いました。

▼≪ジゼル≫ 第2幕より
ロマンチック・バレエの真髄とも言うべきジゼル。ヨーロッパの妖精伝説を元に、今回は精霊ウィリとなったジゼルを青冷めた光の中果敢なく踊る。
もうねールンキナのウィリはすごい!!乗り移ってたようでした。可憐で華奢で真っ白なルンキナは、ロマンチック・バレエが似合います。エイマンはまだ生きてる人間としての溌剌さがあって、これまたぴったりでした。

▼≪椿姫≫ 第1幕より
すいません、印象薄いです。まぁまぁって感じの出来だったんだと思う。ごめんなさい。

▼≪メリー・ウィドウ
素晴らしい!!もうジヨのためのバレエ!体の大きい彼女はコンテンポラリーのシンプルなドレスで踊るほうが似合うんだけど、この振付家ラコットがジヨのためにデザインした衣装のジヨは、もう完全に女王でした!ガニオはそんなに好きじゃないんだけど、この演目では王子っぷりが如何なく発揮されはまり役だったので安心感を持って見られました。
お酒を飲む前に観客に「お先にごめんあそばせ」って感じで挨拶するジヨが可愛いv

▼≪ラ・バヤデール≫ 第1幕より
オリエンタルな演目ということしか知らなかったのですが、まぁ普通な感じで。。。

▼≪ロミオとジュリエット≫ 第1幕より“マドリガル
先日の記事でダメ出ししたユレルですが、これはとても良かったです!心の中で「ごめんなさい」と思いました。彼女はこういうオーソドックスな、かつ繊細な踊りが似合うんだと思います。

▼≪思いがけない結末 Unintended Consequence≫
これは最高に素晴らしかったです。今回のAプログラムの中で一番好き。ミニマムで激しく、かつロマンティック。

▼≪ベラ・フィギュラ Bella Figura≫
まさにキリアン!と言わんばかりのコンテンポラリーダンス。アッバニャートとリアブコの素晴らしいアルモニザシオン。でも衣装が。。。もうちょっとスタイリッシュだといいな。。。この野暮ったさもキリアンと言えばキリアン的なんだけど。

▼≪カンツォーニ Canzoni≫
これはダンスよりも音楽に興味があって(作曲がニック・ケイヴだから)、でもダンスもとても良かった。アバニャートはやはり崇高な美しさで見せてくれるなぁ。ペッシュもそうだけど、その角度からそう来る?という振り付けに所々驚かされながらしかしそれをさらっとこなす(ように見せる)二人に驚嘆。

▼≪バーンスタイン・ダンス≫より“Part1 Wrong Note Rag”
何でリアブコのソロなのか良くわかんなかったんだけど、まぁアメリカ〜ンなのりで楽しげでした。

▼≪ダンス組曲
バッハの音楽に乗せてルグリが踊る。。。その踊りは神性すら感じられるもの、な、はずなんだけど、いかんせん衣装が。。。何、あの赤いスウェット。田舎のヤンキー??えーん、衣装さえもっと普通だったらもっとうっとりと見られたのに〜(涙)。


全て終わった後のカーテンコールでは、全員総出(観客舞台あげのサービスつき!)でタンゴやワルツや、またグランフェッテ大会あど、ダンサー達が本当に楽しそうに踊っていて、心のそこから「あぁガラを見に来て良かった!」と思える終わり方でした。でもこんなサービスはレアなことなので、こんなこと最終日にやられちゃったらこれからバレエを見る日を決めるとき「最終日にしようかな〜」なんて考えちゃいそうです。

とりあえずガラ公演というのを初めて見たわけですが、ロマンチック・バレエまたはクラッシック・バレエは全幕通しで見たほうがいいなということが分かりました。物語はやっぱりその世界に入り込まないとね。一方のコンテンポラリーは切り取って見ても面白いのでガラ向きなんだなぁと思いました。