ふらんす*にちようざっかblog

美術とフランスにまつわる雑話。でも最近は子育てネタばかり。

ボーシャン&モーゼス展

先月末の話ですが、軽井沢に一泊旅行(お目当てはアウトレット)に行ったので、メルシャン軽井沢美術館にて、「生きる喜び 素朴絵画の世界 アンドレ・ボーシャンとグランマ・モーゼス」展を見学。モーゼス作品は損ジャ東郷青児美術館に行くと必ず見ていたし別に好きな作家ではないのでどうでも良かったんだけど(とは言え刺繍作品と雪景色の作品はわりと好き)、あんまり良く知らなかったボーシャンは新鮮に楽しめました。


  

拙宅2006年11月26日の記事ルソーの見た夢、ルソーに見る夢展にてちょっと触れた作家なのですが、このアンドレ・ボーシャンはルソーと違って生前かなり売れた作家のようで、ディアギレフのロシアバレエ団の舞台衣装のデザインまでしちゃったり、しかも76歳で再婚とかしちゃってる、かなりパワフルなお爺さんのようだ。しかし植物はかなり上手く描けるのに、どうしてこんなに人物が下手なんだろうか(こんなに下手で、よく舞台衣装のデザインができたものだ)。でもその下手さがなんか微笑ましくて、風景画とか花の絵よりも、人物表現が入っている作品のほうが面白かった。特に後半(というか奥側)の、神話画のコーナーの作品たちは、画面の中にちまちまと描かれた人物たちがそれぞれ面白い。フォークにしか見えないポセイドンの鉾とか、何一つ狩ることのできなさそうなヴィーナスの弓とか、突っ込みどころが満載。クレオパトラとアントニウスの絵では、人物が多すぎて主人公どこ?って感じだし、しかも皆バニー耳を付けているように見える。*1


メルシャン会場は教会みたいな作りで、人もそんなに多くないのでゆっくり見られて良い会場でした。新設のレストラン、エルミタージュ・ドゥ・タムラは予約制なのかな?お高くて入れなかったので、車で宿泊先の旧軽井沢まで戻って、ホテルの近くでご飯を食べて就寝。

*1:でもこの作品は、ちょっとターナーとかリューベンスの絵を下敷きにしてるんじゃないの?って思うような、実は美術史的に面白い構図だったりする。