ふらんす*にちようざっかblog

美術とフランスにまつわる雑話。でも最近は子育てネタばかり。

イタリア版画展

5月6日まで上野の国立西洋美術館で開催中の、イタリア・ルネッサンスの版画展を見る。チューリッヒ工科大学のコレクションを中心に、自館所蔵品も参照作品として提示しながら丁寧に見せる渋い企画。GWの上野という混雑甚だしい中において、奇跡的にゆっくり見られる展覧会でした。ゆっくり見られて質もいいなんて、そう滅多にない。

 
展示詳細は、上記リンクに載っているので割愛するとして、やっぱりなんといってもマンテーニャはスゴイ!!!繊細でいて力強く、なにより絵が上手い。絵が上手いかどうかというのは、版画においては基本事項でありながらも、しかし蔑ろにされがちだと思う。陰影表現に木をとられすぎて人体のバランスが悪い作家(ロベッタとか)のほうが多いので、絵の上手さはそれだけで価値がある。


時代が下ってマニエリスムに入ると、その不安定な人体表現すら味方につけたようなパルミジャニーノが突出してくる。パルミジャニーノに続いて展示されていたベッカフーミの「金属の錬金術的属性について連作が面白可愛い。金属が擬人化されて描かれているんだけど、ウルカヌスに縛られている金属たちが普通におじいさんで、なんか笑える。

版画だけを大量に見せられると、なるほど作家の個性というのが見えてくるもので、今まで「あぁ版画ね」で済ませていた絵が、より立体的な意味を持って近づいてきた気にさせてくれる展覧会でした。GWの締めにお勧め!地味だけど。(30-04-2007)