ふらんす*にちようざっかblog

美術とフランスにまつわる雑話。でも最近は子育てネタばかり。

仏像展①


11月7日までの会期だった、京都・宝菩提院願徳寺の《菩薩半跏像(伝如意輪観音)》を見に、東京国立博物館で開催中の「仏像 一木にこめられた祈り」展を見に行ってきました。とはいえわたしの最大のお目当ては宝誌和尚立像(京都・西往寺)。ロラン・バルトの『表徴の帝国 (ちくま学芸文庫)』の文庫版表紙にもなっているこの和尚様、エイリアン状態で十一面観音が顔面を割って出てきちゃっている、素晴らしくファンキーな仏像です。夏に京博でやっていた国宝展に出品されていたので見に行きたかったんだけど、都合がつかず会期中に京都に行けなかくてハンカチを噛んだんだけど、東京で見られることになって嬉しい☆初めて生で近くで見ました。感想は「スゴイ!」の一言。大型本の図版で見ていた時には感じられなかった、そのファンキーな表現とは裏腹な静謐極まる立ち姿に、ただひたすら感動しました。


  
さて、会場はクロノロジックに仏様が並んでいるので、そのお顔立ちの変遷が楽しめるのもこの展覧会。初期の、みょ〜にヤニっこい顔とか頭でっかちっぷりとか、アンバランスっぷりが可笑しい。一緒に行ったAちゃんはわたしと同じ西洋美術の研究者なので「この顔おかしくねー?」とか「半目だ半目!蝦蟇っぽ〜い」とか笑いながら見ていたのですが、一方日本美術研究者のSちゃんとRちゃん、そしてイタリアからのスタージュ生Sさんは、顔の面白さよりも衣文表現の展開や彩色の残り具合の話に夢中。「顔がぶさいくなのはいいんです!愛嬌です!」と言い張っていた。そうなの?
で、そういうブスな仏様たちが続いて行った先に、前会期の目玉《菩薩半跏像(伝如意輪観音)》が来ると、もうね、このヒト圧倒的にかっこいい。体つきと言い顔立ちと言い、群を抜いたハンサムっぷりで、堂々と特別席に鎮座ましましていた。ハンサムな上に特別席なんてずるい、とすら思ってしまう(きっと鑑賞者が皆帰って深夜東博が寝静まった頃、周りのぶさいく仏達にポカポカ叩かれているに違いない)。で、また細工がすごいの。蓮華座に座ってるんだけどその蓮華の花びらの形に、ちゃんと衣服が盛り上がってるの!特別席に座るだけのことはあるわけです。
後半は一気にアニミズムの世界、円空と木喰が大量に。どうも円空の仏さんをみると棟方志功を思い出しちゃうんだよな、と思いつつ見る。円空の最初のキノコの森みたいなパズル仏はすごかった(見てないと何言ってるかわからない表現でごめんなさい…でもキノコでパズルなのよ、ほんとに!)。木喰は相変わらずむちむちしていて、全てが大黒か恵比寿に見える。木喰の仏像でクッキーかチョコレート作ったら売れると思う(チョコのイメージとしては、相撲を見に行ったときに貰える力士チョコレートです)。マカダミアンナッツを入れるとヴォリューム的にちょうどいいと思う。



一木作りの仏像を、トータル146体集めたこの展覧会、7日からは後半最大の目玉仏、滋賀・向源寺の《十一面観音立像》が、初めての寺外公開となっています。12月3日までなのでお見逃しなく!さて後期はいつ行こう?(27-10-2006)