ウィーン美術アカデミー名品展
今年4月山口から始まり、三重、新潟を巡回してきた「ウィーン美術アカデミー名品展」が損保ジャパン東郷青児美術館で9月16日から始まりました。そのレセプションが14日と15日の2日間あったのですが、先の方に行ってきました。後日の方が美術関係者が多いよと聞いていたのだけど、都合があわず。14日は会社関係の人が多かったようで、普段行くレセプションとはだいぶ客層が違っていてある意味楽しめました。
ウィーンの美術館と言えば何と言ってもウィーン美術史美術館なので、こちらの美術アカデミー絵画館は影が薄い。そもそもアカデミー絵画なので、展覧会タイトル通り“良い子”な作品が揃っていた。全8章構成とセパレートは多いのだが、出展作品数自体はそれほど多くない(84点)ので疲れずに見られる量である。
1)アルプス以北と以南の初期板絵(クラナッハら)
2)17世紀フランドル絵画(ルーベンス、ファン・ダイクら)
3)スペインとイタリアのバロック
4)黄金期のオランダ絵画(社会と肖像画/オランダとイタリアの風景画/静物画)
5)18世紀イタリアとフランス:ヴェネツィアと南欧
6)18世紀のオーストリア絵画
7)ビーダーマイアーにいたるまでの新古典主義
8)リングシュトラーゼから近代精神の覚醒まで
前回の記事で書いたベルギー王立美術館展と何人か作家が被っているので、併せて見るとより楽しいかもしれない。この展覧会の個人的目玉はクラナッハ(父)だったんだけど、モンス・デジデリオ*1が一点、グァルディが三点(でもやっぱりカナレットの方が好き)来ていたので嬉しかった。ルーベンスは相変わらず解ける直前のバターのような女を描く。
今回画像にカール・モル*2の《私のアトリエから》を挙げたのは、リーフレットやポスターがレンブラント、クラナッハ、ルーベンスといった大画家たちの作品だったのに対して、この作品が図録の表紙だったのが意外で良かったから。室内の親密さ、適度な粗さを持ちつつも落ち着いたマチエール、描かれた家具調度……なんてどこまでも19世紀末(から20世紀初頭)のアカデミー絵画なんでしょう。
趣味にもよるのだろうけれど、第一室で一番の目当てだったクラナッハを見てしまったので、後半は所々ダレる(静物画はあまり好きではない)。したがって通常の入場料1000円は高いのでは無いかと、ちょっと考えてしまった。