ふらんす*にちようざっかblog

美術とフランスにまつわる雑話。でも最近は子育てネタばかり。

混沌展

終わってしまいましたが、青山スパイラルガーデンで開催されていた、京都造形芸術大学混沌から躍り出る星たち 2006展に、会社帰りに立ち寄った。毎年開催されているもので、今年は第6回目(企画・運営が大学内のアートプロデュース学科に移ってからは、今年で3回目)らしく、東京では毎回(と言っても遠征を始めたのは2004年からなのかな?)このスパイラルガーデンが会場らしい。わたしは初見。本家京都での展示は、大学内のギャルリ・オーヴとのこと。


会場に入って、まず音楽に気を取られる。これはスパイラルビル全体のBGMなのか、あるいは生徒の作品なのかと疑問に思って監視係の女性に聞いてみたところ、rei harakami の作品だという。それを聞いて、あぁやっぱりプロは違うのかなーと思う。学生たちの作品にもすごいと思わせるものがいくつかあったけど、やっぱりプロとしてやっていけている人は幾味も違う。でしゃばっていなく、軽々とし、それでいて残る。
卒業制作が主な展示だが、ゲストアーティストの作品もあるのだ。今回は中田泉、山本太郎rei harakami の3人がゲスト。rei harakami は以前から知っていたけれど、後の2人は始めて知った。でも中田泉氏はなんだか「花椿」なんかで活躍していそうだと思った。衣装デザインの人なのかと思ったけど、平面グラフィックが専門らしい。山本氏の作品は、うーん、正直言って感慨は無し。伝統的日本画を現代風にしていて、その塗りの技術や模写の技術はもしかしてすごいのかもしれないけど、ごめん、よく分からなかった。誰ヶ袖図を現代衣装にするとかって、だって、あたしも日本美術史の勉強始めたときに思いついたもの…。学生の作品では、純粋に美しかった金田良氏《Cosmic line》、蘇佳鴻氏《合掌タワー》、旅と地図好きにはたまらない前田麻利子氏《ポラトランク・プロジェクト》、見た瞬間に「これは!」と笑ってしまった松村智子氏《オンパルカス》が面白かった。タブローの作品はいまいちだったなぁ、○○っぽいっていうものばかり。残念。


ところでこの展覧会にふらりと立ち寄ったのは、タイトルに惹かれたから。スパイラルにちょっとした買い物があって入って、1回ロビーでこのポスターを見て、「おや、ニーチェだ」と思ったのだ。ニーチェの有名な、そしてこの素敵な言葉:「人間は自己のうちに混沌を蔵すべし。然して、そこから舞い踊る星を産みだすべし」、を明らかに下敷きにした展覧会、ますますの発展を期待している。余談ながら『ツァラトストラはこう言った』よりも『ツァラトストラはかく語りき』の方が好き。(09-08-2006)