ふらんす*にちようざっかblog

美術とフランスにまつわる雑話。でも最近は子育てネタばかり。

ユペール写真展

Isabelle Huppert: Woman of Many Faces東京都写真美術館で開催中の「イザベル・ユペール Woman of Many Faces」展と、あわせて無料上映しているユペール映画祭、今日はミヒャエル・ハネケ監督作《ピアニスト》を見てきました。わたしの大好きなフランス女優ナンバーワン☆なユペール写真展、楽しかった…!年を取ってますます美しさに磨きがかかるユペール、も〜ほんとに、この顔大好き!72人の写真家に撮らせたユペールを合わせたこの企画、当然ながら世界巡回展です。わたしが帰国する頃にパリでポスターを見たんだけど、見る暇無く帰って来てしまったので、日本で見られて嬉しい。

色んな表情のユペールがいたけど、どれも意志の強そうな、薄い唇をきゅっと閉じた顔が通底していました。相手を見下すように、くいっと顎を持ち上げた角度がなんて似合う人なんでしょう…素敵v 一方若い頃はやはりまだまだあどけなさが残っていて、上目遣いももまた可愛い。とは言えわたしは年取った顔のほうがきつい印象を与えて好きなので、あまり若い頃の写真は好きではなかったんだけど、それでもロベール・ドワノー Robert Doisneau やジャック=アンリ・ラルティーグ Jacques-Henri Lartigue の写したユペールは可愛かったです。マルク・リブー Marc Riboud のコミカルな写真も良かったなぁ。3/4プロフィルのボブ・ウィルソンと、横向きのピエール・スーラージュに挟まれて真正面で映っているユペール。なんだか笑い出しそうな彼女の表情がいい。ヘルムート・ニュートン Helmut Newton のは、セミヌードの写真はあまりよくなかったけど、煙草片手に車中にいるユペールを撮ったのは良かった!
ナン・ゴールディン Nan Goldin やアントワン・ダガタ Antoine d'Agata のような裏社会系の写真家もユペールを撮っていました。そこにわたしが感じたのは、上手く言えないけど、彼らの写真に良く見られるような被写体の不幸さのようなものが無いこと。ユペールは挑発的な撮られ方をしても、あくまでもユペールなのだという揺ぎ無さを感じました。だからこそ彼らのような写真家からも“撮りたい”と思わせるんだろうな。昨年のfiac!で見たパトリック・ファイゲンバウム Patrick Faigenbaum の写真もありました。どの写真家も「あぁユペール!」と思わせる写真を撮っていたんだけど、唯一個人的に違和感があったのがフィリップ=ロルカ・ディコルシア Philip-Lorca DiCorcia の作品。鮮やかで明度の高い色彩を用いたカラー作品が2点あったんだけど、お花や空が多重露光で写しこまれた方はあまりにもポップで、ユペールっぽくないように感じました。ユペール本人に会ったら、こういうポップな面が見えてくるのかしら…?

ユペールを好きな人は勿論、あまり知らない人でも多分見入ってしまうような作品が沢山揃ったこの展覧会は8月6日までです。ぜひとも。