ふらんす*にちようざっかblog

美術とフランスにまつわる雑話。でも最近は子育てネタばかり。

変態村

変態村 [DVD]
CALVAIRE 邦題《変態村》
監督:ファブリス・ドゥ・ヴェルツ Fabrice du Welz
フランス・ベルギー・リュクセンブルグ、2004年、94分 ☆☆

邦題、絶対失敗!!こんなタイトルじゃ集客激減だよー。しかも、逆に《変態村》という邦題に惹かれてくるような人を満足させるような変態的内容じゃないし。変態的だと言えるのは、家畜とセックスするシーンくらいしかなかったのに。暴力シーンは殆ど無く、鬱蒼と暗く閉塞した空気の満ちた作品。ノエ作品でなじみのフィリップ・ナオンも出演していました。


原題のcalvaireは“殉教”の意。主人公のドサ周りシンガー・マルクが、ある一人の女を熱狂的に愛する村人にスケープゴートにされるという物語である。マルクが身代わりにされた女グロリアがどんな女だったのか、どのようにして逃げたのか、過去に村で何か起こったのか、などの説明は仄めかすようにしか描かれず、描かれるのは不思議な魅力を持つマルクの受難劇に終始する。タイトルがキリスト教的であるように、物語の展開もある意味でキリスト教的である。おそらくグロリアはイヴであり、マルクはキリストである。キリストは崇められ、拷問を受け、昇天し、赦しを与える神となる。新約聖書を読むような物語だった。

物語は粗く、寧ろ各シーンの構想が先にあってそれを撮るために作った作品なのかなと思うくらいなのだが、何と言っても映像がとても美しい。暗闇を、光の効果を、色の配置を、細かく考えて撮ったのだろうなと思わせる。村人たちのダンスのシーンとエンディングの映像は、何度でも見たい気にさせる。(29-03-2006)