ふらんす*にちようざっかblog

美術とフランスにまつわる雑話。でも最近は子育てネタばかり。

フリークスも人間も

IIPO УPOДOB И ЛЮДEЙ 邦題《フリークスも人間も》
監督:アレクセイ・バラバノフ Aleksei Balabanov
ロシア、1998年、93分  ☆

久々にロシア映画を観たんですが、うーん、レイトショウ!って感じ。舞台は映画が発明された頃・19世紀末のロシア。エロティック写真(しかも若い娘が老婆に「悪い子だね!」と鞭打たれるものばかり)を撮って密かに売っていたヨハンとその仲間たちが、ブルジョワの家庭を崩壊させていく、というお話。でも崩壊していくのは別にヨハンたちが悪いわけじゃなくて、貴族たちが隠し持っていた性癖のせいだったりするのですが。貴族という階級の人間の持つ密かな愉しみが自らの生活を崩壊させていく・とは言っても、登場人物たちはなんら不幸なわけではなく、環境に順応していくのです。シャム双生児の双子も歌という生業を見つけ、少女リーザは自らの真の性向を知る。悲劇的題材を扱っていながらもこの開放感!

背景の雄大なロシアの土地の美しさは感動的です。舞台はサンクト・ペテルブルクなのですが、行った事がある土地だったので感慨もひとしお。ヨハンがネヴァ川の流氷に乗って流されるシーンの美しさは絶品です。特に水面に足を踏み出すシーン、息を飲みました。全く無人の街のように見えるのですが、オール・ロケで、撮影は白夜の時期の早朝に行ったそうです。

あ、びっくりだったのは、リーザを演じた少女は、カネフスキー監督作《動くな、死ね、蘇れ!》のディナーラ・ドルカーロヴァ。ちなみに英題は《of Freaks and Men》で、スタインベックの『二十日鼠と人間(of Mice and Men)』と同じ意味合いでつけられたとのこと。(12-04-2002)