ふらんす*にちようざっかblog

美術とフランスにまつわる雑話。でも最近は子育てネタばかり。

スチームボーイ

スチームボーイ
監督:大友克洋
日本、2003年、126分 ☆☆

こちらのアニメも日本とあまりタイムラグ無しにフランスでも公開。日本のアニメに寄せるフランスの期待の大きさが伺える現象です。
19世紀半ばの産業革命(主に蒸気の発明)にかけた冒険&家族愛の物語。フルCGで見せる映像の美しさは流石大友アニメという貫禄です。全と悪とを分けがたい物として捉える、どちらにも言い分と夢はあり、またどちらにも欠点がある、そんな科学者の宿命とも言える二律背反で悩む姿を祖父と父に投影する分かりやすい構成でした(一人の人間が悩むからこそその問題の重要さが図れるのだと思うのですが、主人公のレイ少年をジンテーゼとするほうが物語としては明確な骨組みになるのでしょう)。

AKIRA》で見られた錆付いた疾走感や刹那的な感じ、荒廃感、近未来への恐怖と憧れといった要素は殆ど見られず、純粋な少年を主人公としていたために、すっきりとまっすぐな作品だったと思います。《AKIRA》の世界が好きな人間には物足りなさを感じますが。フルCGの美しさを生かした、グロテスクな作品を、次は是非作って欲しいものです。(18-01-2005)