ふらんす*にちようざっかblog

美術とフランスにまつわる雑話。でも最近は子育てネタばかり。

フィリップスコレクション展評


この『にちようざっか』でも昨年11月21日に取り上げた、リュクサンブール美術館で開催中のフィリップスコレクション展に行ってきた。混みそうだからと予約をしていったのだけど、全然並んでいなかった。ちぇ。とは言え中は混んでいたので、たまたま並ばずに入れる時間だったのだろうか?丁度昼ご飯の時間だったし。
出展作品数が70点弱と少なく、かなりあっさりと見ることが出来たので、全く疲れない展覧会だった。見れば「あ、誰々」と分かる有名作家が9割なので、いちいちキャプションを見なくても流せたというのが大きな理由かもしれない。ルノワールLe Déjeuner des canotiers《カヌー遊びをする人々》が目玉作品であるということ以外はたいして調べずに見に行ったので、最初の展示作品がピュヴィ=ド=シャヴァンヌであったのには驚いた。エスキスまたはエチュードであろう作品だろうけれども、なぜルノワールを買う人がこの作品?とまず疑問。ドーミエやマネも持っていたのでコレクターの趣味がいまいち見え難かったが、もや〜っとしたルドンの作品以降「あぁこういうのが趣味なのか」と、何となく把握(ルノワールやボナール、ヴュイヤールなど)。“○○コレクション”と銘打つ美術館や展覧会を見る時は、どのような尺度で作品を買い集めたコレクターなのかを推測しながら見るのが楽しいのだが、このコレクションでは、恐らくコレクターのフィリップスは、19世紀後半から20世紀初頭にかけてのぼやぼや〜っとした温かい色合いの作品、特に風景画が好きなのだろうと思った。しかし続く部屋からいきなりキュビスムになる。あれれ?そこで制作年と買い取り年とを鑑みてみると、このコレクターには馴染みの画商がいて、薦められて先物買いとして買ったのだろうか?と思ってしまった。カタログも何も買っていないので、フィリップスコレクションの作品収集方法などについては全く不明(正しい情報をお持ちの方はひっそり教えてください)。
この展覧会の作品の中から好きなのひとつあげる、と言われたら、クレーの《カテドラル》かな。クレーは本当に可愛らしい作品を残しますね。展覧会は3月26日までです。