ふらんす*にちようざっかblog

美術とフランスにまつわる雑話。でも最近は子育てネタばかり。

BLUE

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監督:デレク・ジャーマン Derek JARMAN
イギリス、1993年、75分 ☆☆☆☆☆

デレクはあたしが初めて「監督で観る」ということをした監督です。1994年にエイズで亡くなってしまった彼は、その卓越した色彩感覚と美的感覚で映画を作りつづけた人でした。特にこの作品では、画面は何もなくただ青い世界が広がるばかり。青。海の色。空の色。静脈の色。デレクが飲んでいた薬の色。ミクロからマクロまで、青は全てのものの象徴のような、大きな色です。ただの青一色の画面に吸い込まれながら男の独白を聞くうちに、あなたは何を思うでしょうか。
この映画の中で、思わず涙が出てしまった部分がありました。

    「ショゥウィンドウで、きれいな靴を見た。中に入って買おうと思ったが立ち止まった。死出への旅は、今履いているこの靴で十分だ。」

最初は美しいと思った青い画面が、私に重くのしかかってくる気がして、溺れたみたいに苦しくなりました。CD版もあります。とはいえ、映像はないんだけど、やっぱり大画面の青色を体感したほうがいいと思う。UPLINKからセルがたくさん出ているので、観たことがない方は是非!!(----2000)