ふらんす*にちようざっかblog

美術とフランスにまつわる雑話。でも最近は子育てネタばかり。

神に選ばれし無敵の男

Invincible 邦題《神に選ばれし無敵の男
監督:ヴェルナー・ヘルツォーク
ドイツ、2001年、128分 ☆

第二次世界対戦下のドイツを舞台に、ポーランドユダヤ人ジーシャと、ベルリンで政治家相手のオカルトショウを経営するハヌセンとの交わりを通じて、徐々に台頭するナチとユダヤ人排斥の動きを描く。
ゲルマン神話の「ジークフリート」を名乗ることに絶えられなくなったユダヤ人の葛藤と打開、その心の強靭さはまさにinvincible(無敵)であって、その心の無敵さ、純粋さこそがあらゆる物に対しても無敵となりうるのだということを表わしたかったであろう作品。「反体制」という昔からのテーマを描いてはいるが、その描き方がやや柔らかくなっているのは年のせいなのか、ヘルツォーク。とはいうもののおそらくは「反体制」がテーマなのではなく、ヘルツォークが描きたかったのは無敵であり続けられる魂の美しさと、無敵には成り得なかった(しかし一時的な権力は得た)魂の対立構図であったのだろう。
ジーシャの弟役の少年が、まるで賢者のように聡く美しい。ティム・ロスはやっぱり企んでいる顔だ・・・。わたしの大好きなウド・キアーも出演。(04-02-2004)