ふらんす*にちようざっかblog

美術とフランスにまつわる雑話。でも最近は子育てネタばかり。

サヴィニャック

以前サイトをやっていた時に、よく検索ワードで引っかかっていたのがこのRaymond Savignac(1907-2002)。やっぱり誰が見ても「おおっ」って思って気になる作家なんでしょうねv可愛いもん。
1999年だったでしょうか、渋谷Bunkamuraで開催されていた「ワインと食前酒のポスター展」で見て一目惚れしたと思っていたのですが、実はその前に友人がフランスで買ってきた絵本『HUMOUR A TROUVILLE』で見たことがあることに後で気が付きました。その後も「あ、これもこの人だったんだ」という発見が続き、実は結構前からこの人の作品が好きだったんだなーと思ったものです。

ポスターという、大衆に受けが良くないといけないアートジャンルにおいて、彼の絵が放つ可愛らしさ、親しみやすさは無敵です。赤、青、黄をベースにした軽快な彼のポスターは、まるで子供のお絵かきのように自由で遊び心に満ちています。サビニャックにとって、ポスターとはイメージそのものなのであって、したがってメッセージは分かり易すぎるほどでなくてはならないのだそうです。こうして生まれたのが、彼独自の愛らしい作品たちです。
彼の作家としてのキャリアは、1935年にカッサンドル*1の助手になることから始まりました。1949年に注文無しで描いた(勝手に書いて売り込んだってことかしら?)Mon Savon au lait牛乳石鹸;右画像)のポスターで名声を確立。ユーモラスな(時にはブラックユーモアとも思えるものまで)表現と、カッサンドルから受け継いだ単純な構成力に支えられたサヴィニャックの表現は、「Un scandale visuel(ヴィジュアル・スキャンダル)」として流布、戦後ポスター界に多大な影響を与えました。

サヴィニャックの言葉

ポスター

    ポスターとは小道にいる娘さんのようなのもです。

    大衆的な娘さんあれば貴族階級の娘さんもいるでしょう。

    舗装道路の花や枠で囲まれた女王様は決して自分を見失うことなく全てを示して見せるのです。

ユーモア

    ユーモアとは、ストレスを治療してくれる魔法の特効薬です。

    ユーモアは、活発に交流したり自由な意思を発達させることで、

    損なわれた平衡を回復してくれるものです。

    毎日を、味わい楽しむためのものなのです。

イデー

    それはポスターにおける妙味である!

    それはポスターが生あるものにお返ししてくれるものであり、

    互いは交流し、時には忘れられないものとなるのだ。

    イデー、それはコロンブスの卵なのだ。

Savignac L'affiche de A à Zを参照。

サヴィニャックの本ならRaymond Savignac: Design and Designer 030あるいはこちらをどうぞ。後者は2001年の展覧会カタログなのですが、かなり分厚くて収録作品数も多いのでお勧め。サヴィニャックの簡易年表はこちら、お亡くなりになった時の記事は例えばこちら。(----2000 →28-11-2005加筆修正)

*1:Adolphe Mouron Cassandre (1901-1968):単純で力強い画面構成とシンプルな文字との組み合わせにより、アールデコ時代のポスターの旗手となる。→ISBN:4051057224