ふらんす*にちようざっかblog

美術とフランスにまつわる雑話。でも最近は子育てネタばかり。

R.I.P.ジョー・コールマンの肖像

Rest in Pieces, Joe Coleman 邦題《R.I.P. ジョー・コールマンの肖像》
監督:ロバート・エイドリアン・ペヨ
オーストリア、1997年、93分

アメリカのコンテンポラリーアーティストであるジョー・コールマンに取材したドキュメンタリー映画。
グリューネヴァルトやボッスなど、中世および初期ルネサンスの画家に影響を受けたというコールマンの絵は、これでもかといわんばかりに書き込みを施したもの。真中にモチーフを置いて、なんていうルネサンス様式は、彼にとっては絵画の堕落なのです。「人間は地球を覆うガン細胞だ!」と言い、「問題なのははおまえらなんだ!」と演説するコールマンの熱さに対して、ペヨの撮り方は実に冷静で淡々としています。対象と一定の距離を保ってそのものを客観的に描こうとするペヨの姿勢が感じられる作品(だからこそ彼の《エデンへの道》は感傷的にならずドキュメンタリーフィルムとして成功しているのだ)。でもその距離を突き破って、ペヨにちょっかいを出すコールマンが可笑しい。
ジム・ジャームッシュが相変わらずのいい声でちょっと出演しています。うっとり。ヘイズル・アドキンスと、♪朝帰ったら、愛しいおまえが裸だった〜、誰が脱がせたんだ〜♪と歌うシーンに笑う。誰が脱がせたんだって言われてもなぁ。コールマンは絵だけじゃなくパフォーマンスもするアーティストなんだけど、鼠の頭を食いちぎるシーン(アートパフォーマンスの一環)は、ちょっとおえってなります。きちがいです。
R.I.P.とは、Rest in Pieces。墓碑に刻むRest in Peacesのもじり。何故pieceなのかは、コールマンの画風で納得。(----2000)