ふらんす*にちようざっかblog

美術とフランスにまつわる雑話。でも最近は子育てネタばかり。

ドイツチェーンソー大量虐殺

** 邦題《ドイツチェーンソー大量虐殺》
監督:クリストフ・シュリンゲンズィーフ
ドイツ、1990年、63分

東西ドイツの『壁』崩壊後のドイツ。東から西へと流れる数十万人ものうち約4%が行方不明であるという事実の元、「その4%の人々は国境沿いの食肉工場でソーセージにされていた」という、何じゃそれ、という設定のもと、この映画は進められます。

人間の腕をぼへーっとした顔でミンチ機械に入れるおっちゃんがちと怖い。この工場に迷い込んでしまった男女がそれぞれ工場の人(殺人鬼)と格闘。車に轢かれて上下半身がまっぷたつになった工場のおばちゃんは、やけにぺらぺらとドイツ統一についての薀蓄を喋り倒す。血がどばーっと出たりするんだけど(それも大袈裟に)、別に怖い話なわけじゃないし、逆にユーモア満載で、笑うしかないって感じの映画です。「《悪魔のいけにえ》が政治的テーマのもとリメイクされたような作品」と言われていますがドイツの社会的背景をお勉強してから見るのもよし、単純に殺しまくるシーンだけ見て笑うもよし。画面が異常に暗くてざらざらしてるのですが、それがまた、舞台の荒廃性を伝えていていい感じ。慣れるまで疲れるけど。

この映画を観たのは高校生だか予備校生のとき。予備校の自習室で勉強しつつ、レイトショーが始まるのを待った思い出があります。場所は六本木の俳優座。お客さんはまばらにしか居ませんでした。こういう馬鹿馬鹿しい殺人鬼モノは皆で笑って見るほうがいいと思うんだけど、数年前の小学生首切り事件以来映画の上映すらも自粛されるようになって少し残念に思っています。DVD化されたときは嬉しかったけど、でも家で一人でじっと見るより、映画館という公共の場で見る方が健全に受け止められると思うんだけどなあ。(---2000→ 21-11-2005加筆修正)