ふらんす*にちようざっかblog

美術とフランスにまつわる雑話。でも最近は子育てネタばかり。

es

Das Experiment 邦題《es》
監督:Oliver HIRSCHBIEGEL オリヴァー・ヒルシュビーゲル
ドイツ、2001年、119分

心理的に怖い映画でした。映像のショッキングさという点は少ないのですが、その舞台設定、感情の絡み合い、鑑賞後に残る感覚が、怖いです。
1971年のスタンフォード大学で実際に行われた人体実験を元に作成された脚本ですが、実際の実験はわずか7日で中止となり以後禁止となったと言うことです。どのような実験かというと、24人の被験者を看守と囚人の役に分け、それぞれの使命を全うすることだけを要求すると言うものでした。しかし簡単に予想がつくように、看守役は自らの権力に酔い、囚人役はそれに従って弱者と化していくのです。人間の動物的本能ということを改めて考えされられます。我々を他の動物と区別しているものはなんなのか。非人間的な行動(といってもそれは明らかに人間の行動なのだけれども)を目の当たりにする不快感。不快だけれど嫌いではないです。むしろこれを不快と感じられることに安心すらします。主人公タレクを演じた男性は、《ラン・ローラ・ラン》の彼氏マニュ役でもおなじみ。タレクとともに行動するシュタインホフが超かっこいい。(02-06-2003)