ふらんす*にちようざっかblog

美術とフランスにまつわる雑話。でも最近は子育てネタばかり。

お盆とハロウィン

今までフランス人に「あーハロウィンって、だってアメリカの子供のお祭りでしょ?」と言われ続け、てっきりフランス人はハロウィンなどで騒がないのかと思いきや、そんなこともない人たちもいるらしく、友人宅のホームパーティーに行ってきました。「仮装して来い」と主催者から言われていたのですが、そんなパーティー衣装は持っていないので、黒いマニキュアと黒い衣装で勘弁してねってことで行ったら、誰もしてないじゃん、仮装!!子供すら素だったよ。ちぇ。「去年はドラキュラの格好出来てくれた人もいたのに〜」と寂しそうに言われましたが、あななたち毎年やってるんですか。でもおかげでdéguisement(仮装)という単語を覚える事が出来ました。翌日11月1日は万聖節(Toussaint)の祝日なので、皆さん朝まで騒いだらしいですよ(わたしは0時過ぎに退散)。

Halloween
All Hallows又はHallowmasつまり諸聖人(フランス語ではToutsaintトゥッサン)の日のeve前日、Hallow Eveが訛ってHalloweenとなったらしい。トリック・オア・トリートだとかジャック・オー・ランタン*1で祝う現在のお祭り騒ぎは、19世紀にヨーロッパからアメリカに渡った移民によって持ち込まれた宗教儀式の、宗教色を失ったもので、ケルトの民間信仰とキリスト教、そしてショウビズの要素が混ざりまくって佃煮みたいになっちゃったものである。


紀元前のケルトの宗教儀式Samhainが起源。ドルイド教において11月1日からが「冬の始まり」であり「新年の始まり」であった。従ってその前夜に作物と動物の犠牲、そして祈りを捧げ、火のまわりで踊り、太陽の季節が過ぎ去り暗闇の季節が始まることを告げた。一夜明けて11月1日、ドルイド祭司が各家にこの火から燃えさしを与える。各家ではこの火を竈に点けることで、地獄の釜が開いてこの世にやってきたSith(悪霊や妖精)が入って来られないようにした*2
ハロウィンカラーであるオレンジは収穫の、黒は長い冬の象徴*3

4世紀以降、アイルランドの地で勢力を増してきたキリスト教の宗教要素と併合。収穫や新年といった民族的要素は薄れつつも宗教行事とも言えない、不思議なお祭が出来上がった。

万聖節は、去年の10月31日の日記に書いたように、日本のお盆にあたるお祭りなので、死に纏わるイメージが多く使われます。因みに諸聖人の日の翌日、11月2日は死者の日(Trépassés)。

参照リンク→ハロウィンの起源とかランタンの作り方とか色々

*1:南瓜のランタン。頭蓋骨が発想起源なのだけど、実際の頭蓋骨に蝋燭入れて祝っている地域はないのかしら?

*2:Samhainはあの世から蘇った魂たちが現世に現れる期間です。まさにお盆。

*3:ドルイド教では黒猫が精霊の存在を察知するパワーを持つので、黒猫も欠かせないモティーフ