ふらんす*にちようざっかblog

美術とフランスにまつわる雑話。でも最近は子育てネタばかり。

ディジョン

パリから直通のTGVにて2時間弱、ブルゴーニュ地方の中心都市です。ディジョンといえばマスタードなのですが、生憎行ったのが日曜日だった為お店は殆ど閉まっていました。パリもそうですが、ヨーロッパの都市は悉く日曜日に死の町と化すので、旅程を立てる際はお気をつけください。とりあえずブッフ・ブルギニョン(牛の赤ワイン煮)とエスカルゴは押さえてえておきましょう。あと、夏に行った時は気のせいかと思ったのですが、今回は確信しました、「ブルゴーニュ地方はカフェが薄くて不味い」と。ワインばっかり飲んでるから、カフェはどうでもいいのか?この地方の人たちは。

Cathédrale St-Bénigne サン=ベニーニュ大聖堂
【歴史】まず、以前教会があった跡に、3階建てのロトンダ(円形建築)を後陣に持つバジリカが1001年に建てられました。1270年にバジリカが倒壊し、代わりに現在のゴシック様式の教会が建てられました。この時ロトンダは残りましたが、フランス革命時に一部破壊、結局地下階のみが残ることになりました。1860年ごろ再建され今に至ります。
【見所】クリプト(地下聖堂)には、この地方の最初の殉教者聖ベニーニュの石棺(2世紀)と、両腕を広げ祈りを捧げる人物が彫り込まれた具象的な柱頭装飾があります。
正面ファサードのタンパン(ティンパヌム)もリアル(誰が作ったんだろう?19世紀のものだろうとは思うけど)。通常『最後の審判』が配置されるのところですが、ここのは何故か、イエスがイェルサレムの宮で暴れる場面*1でした。

Église Notre-Dame ノートルダム教会
【歴史】かつて城壁の外であった場所に1159年より建てられ始め、1230-50年に現在の主な部分が完成(内陣の5つのアーチは1334年)。1865年から1864年に大掛かりな修復工事が行われ、この時トランセプト(翼廊)のヴォールト天井が縮小されました。
【見所】ファサード。ものすごくフラットで、教会というよりも宮殿のようなな印象。ブルゴーニュ=ゴシック様式らしいのですが、この違和感は何だろう?と思っていたら、西の薔薇窓が無いんですね。
内部では、パイプオルガンの前に聖母のタピスリーがかかっていてちょっと珍しい。側廊にはフレスコ画が残っています。更に後陣右の礼拝堂には“黒いマリア”。黒マリアは、かつてはNotre-Dame de l'Apport(寄与の聖母マリア)と呼ばれていましたが、後にNoter-Dame de Bon-Espoir(希望の聖母マリア)と変わりました。元々マリアの顔は暗い色だっただけなのだけど、何世紀もの間黒く塗られ続けてきたらしいです。あんまりに黒く塗られてしまったので1963年にホワイトニングしたっていう記述に笑ってしまいました。
あと、北側(左側)の外壁に小さい梟がいます。この子を撫でると夢が叶うかも!?だって。因みに梟はフランス語でchouetteあるいはhibouというのが普通ですが、ducという言い方もします。ブルゴーニュは公国(duché)として長く栄えた都市で、その領主をduc(公爵)と呼ぶ。ディジョンのシンボルが梟なのはこのダブルミーニングのせいなのかな?

Musée des Beaux-Arts Dijon ディジョン美術館
かつてのブルゴーニュ公の宮殿の一翼を美術館として使用。絵画・彫刻を満遍なく収集、ディジョン出身の画家の作品収集に力を入れているようなので、色々知らない作家も発見できて良いです。フランドル絵画のコレクションが充実。初期作品なので個人的に「コレいいっすよ!」とお勧めは出来ないのですが、ギュスターヴ・モローの《雅歌》もあります。19世紀以降の絵画は2,3階にあって、比較的習作が多いのですが(グランヴィル夫妻の寄贈によって主なコレクションが形成されている為)、マネ、ドラクロワドーミエ、カリエールなどがあります。常設展示は入場無料!
【必見】メルキオール・ブルーデルラム(Melchior BROEDERLAM, 活動時期1381-1409年)、ロベルト・カンピン(Robert CAMPIN, 1380年以前-1444年)、そしてフランソワ・ポンポン部屋。

フランス政府観光局のディジョンページ
Office de Tourisme Dijon
ディジョン市のサイト
ブルゴーニュ美術館連合
わたしのディジョン・ボーヌ旅日記

今回の記事の画像は、ディジョン美術館所蔵の骸骨像:suite de Ligier RICHIER, ECORCHÉ, daté 1547

*1:マタイ伝21:12-13、マルコ伝11:15-17、ルカ伝19:45-36、ヨハネ伝2:13-16参照。「マタイ伝21:12-13他参照」って書こうとしたのに、読みながら探してたら全部書いてしまいました。因みにわたしはこの場面が好きではありません。