ふらんす*にちようざっかblog

美術とフランスにまつわる雑話。でも最近は子育てネタばかり。

fiac!へ

ヴェネツィアビエンナーレを仕事で見に来た先輩がパリに寄ってくれたので、一緒にfiac!に行ってきた。
10月6日から始まっていたこのイベント(わたし達が行った10日が最終日)。モダン&コンテンポラリー・アートのギャラリー展示ということであまり興味が湧いていなかったのだが、行って良かった!現代アートは100個見て1,2個いいものがあれば「あぁいい企画だったな」と思うのが普通だけど、fiac!はおよそ220店のギャラリーが出店し、7個いいなと思う作品に出会えた。これは大収穫。12時から閉館の18時までぶっ通しで見学してきて、疲れたけど頭はクリア、いい刺激だった。

アーティストの展示ではなくギャラリーの展示なので、“今売れているアート”“これから力を入れていくアート”が見られたわけだが、美術の世界もファッションと同じく流行があるもので、改めて今は「幼児性/残虐性」を素朴な手法で描くものがブームなんだなと思った(デュシャン賞を獲った作品のひとつも、その名もずばり《Childhood》だったし)。あと、ミクストメディアではなく、昔ながらの単一マテリアルに回帰しつつあるのかなとも思った。
似たり寄ったりの、あるいは過去の作品の焼き直しでしかないような作品が大半を占めている様子を見て思うのは、「果たして現代作家たちは何を思って作品を作っているのだろうか?」。ポリティカルな作品ならまだ分かるけれども、クリエイトとしての作品ならばそこにとどまっていてはいけない。コンセプチュアルになりすぎず、しかし新しいものを。勝手な事を言っているのは分かっているが、それでも鑑賞者側はそれを求めているのだ。既にあるものなんて要らない。
アーティストたちが“売れる作品”と“いい作品”とのギャップに悩むのは当然だ。だからこそ“売れなくてもいい作品”を保護するギャラリスト、美術館職員の目が問われるのだと思う。“中身の無い売れる作品”は、3年経ったらもうトラッシュなのだ。99個のトラッシュの中に埋もれる1個の宝を探す目を養うためにも、これからもっと積極的に現代アートのイベントに行こうと思った一日だった。

来年のfiac!は、10月26日から30日までです。